総合出版・編集プロダクション「ホントに歩く」東海道・中山道

東海道57次と京街道とは?


東海道57次と京街道 京街道って何だろう?

 東海道57次 4宿 略図
東海道57次4宿略図

京街道とは、京へ向かう道

髭茶屋追分  山科の髭茶屋追分の道標は、東から来た人のためのものです。東から来ると、ここで道は分岐するので、道標が必要です。ここに「京街道」と記された道標がないのは当然だと思われる方は、街道名が、行き先の地名でつけられている場合が多いことを知っておられるのでしょう。

しかし、その場合でも、「京街道」の道標がないことは、じつは当然でもないのです。もしここに「京街道」の道標があるとすれば、右へ分岐する、三条大橋方向の東海道53次を示すもので、左へ分岐する、東海道57次ではありません。実際に、右に分岐している道を「京街道」と記した資料もあります。

今回新刊しました『ホントに歩く東海道 京街道』第16・17集 は、左分岐する道のマップですが、タイトルに「京街道」と記しています。厳密に言えば、これは間違いです。なぜなら、京の都に向かうのが京街道で、それは右分岐の道であって、左分岐は、伏見、宇治、奈良、大阪へ向かうので、京街道とは言いません。
それなのに、『ホントに歩く東海道』では、あえて「京街道」と記しました。左分岐の道には、実際の道標でも、「伏見街道」「奈良街道」と記されています。『ホントに歩く東海道』でも、本来なら『ホントに歩く東海道 大阪(坂)街道』と書くのが正しいのかもしれません。

東海道57次の道は知られていた

東海道57次 守口宿 ところで、東海道と言えば「53次」で、「57次」と言うと、守口、枚方の地元を除けば、「えっそうなの?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、江戸時代から、道中奉行管轄の東海道は57次でした。枚方でも守口でも、56次目、57次目と看板に掲げてきましたし、枚方では、20年前に「東海道」を観光に結びつけた町おこしを試みています。

「東海道57次」の名称は一般的ではないかもしれませんが、57宿は知られていました。この街道に関する本なども、以前から出ていますので、読者は当然57次をご存知です。その街道は「京街道」と呼ばれ、書籍でもウオークガイドでも、こちらの方がメインタイトルで、「東海道57次」はサブタイトルになっています。
そして、「京街道」の本は、例外なく、大阪から京都の方向に歩いています。『ホントに歩く東海道』は、その京街道を、逆方向に歩くのですが、同じ道なので地元に親しみのある「京街道」とすることにしました。

秀吉の京街道は、伏見で終わる

豊国神社 豊臣秀吉像 そして、「京街道」の本は、伏見で終了するのが普通です。伏見から山科追分に向かう東海道は、厳密には京街道ではありません。伏見は京都であり、その先は、大津街道だからです。
京街道をつくった豊臣秀吉は、伏見城と大坂城を結びました。江戸幕府2代将軍の徳川秀忠は、大坂夏の陣の後に、その京街道を東海道57次に延伸しました。地元の人には、秀吉がつくった道で、江戸幕府が管轄する以前からある京街道なので、あえて「東海道57次」の道としては、特別な時しか認識に上がらないのでしょう。
東海道は、幕府の道としては、江戸〜大坂の57次です。「東海道分間延絵図」の方向も、江戸→大阪です。
以上を整理すると、53次の延伸の57次の4宿間は、この間だけ逆方向の京街道として親しまれてきました。じつは弊社も、16・17集は、西→東にしようかと検討したことがありました。

大名の道、庶民の道

大名の道と庶民の道は、分けて考えておかなければいけないでしょう。
幕府の東海道は、いわば「国道」です。参勤交代の道。西国大名が江戸へ向かうとき、幕府は、大名つまり武士団を都に入らせず、伏見から髭茶屋(山科)追分に迂回させて(ショートカットさせて)大津へ向かわせました。帰路も同じです。「東海道分間延絵図」は、大津から都に向かわず、追分で伏見に向かいます。
しかし、お伊勢参りなどの庶民は、東海道を歩いて伊勢に到着した後は、物見遊山で観光するなら、都に行くのがごく自然でしょう。都を迂回して大坂へ向かうのは、大名以外は商人などの特別な事情のある旅人なのでしょう。だから、安藤広重が庶民向けに東海道を描いて流行ったのは、京までの53次が自然だったと思います。

東海道は、53次であり、57次である

高麗橋 里程元標 弊社の『ホントに歩く東海道』は、街道としては、道中奉行管轄の東海道を基本とし、現代の東海道ウォーカーのためには、「国道」にこだわらず、庶民の歩いた道、生活の道も歩けるように企図しています。
どこを歩いても東海道ですが、ずっと昔から大勢の人々が歩き、歴史が刻まれた道を私たちも歩きます。同時に、沿線の村々の、人々の歴史が刻まれた生活道も歩きたいと思います。

「ホントに歩く東海道」第16集・17集 2017年5月15日発行

ホントに歩く東海道 第16集

「ホントに歩く東海道」第16集
京街道 追分〜樟葉/奈良街道<小野〜伏見>

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ホントに歩く東海道 第17集

「ホントに歩く東海道」第17集
京街道 
樟葉〜高麗橋

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