岩瀬大地著
仕様:A5判/192頁
定価:2400円+税
2022年7月22日発行
ISBN978-4-910793-01-6 C0070 2400E
「竹自転車づくり」が、世界中で同時多発的に生まれています。
どんな取組みが行われているかを調べると、地球環境に優しい乗り物というレベルを超え、SDGs達成を推進していることに気がつきました。竹を使う奇抜性が注目されがちですが、既存の社会をサステナブルに変える「社会変革の可能性」を竹自転車は持っています。
第一部では、世界の竹自転車メーカー21社を紹介。第二部では、竹自転車とSDGsの関係をさらに深く掘り下げます。
著者
岩瀬大地(いわせ・だいち)
1977年、東京生まれ。2003年、東京造形大学造形学部環境計画卒業。2013年、タイ国立マヒドン大学大学院環境資源学研究科卒業(Ph.D. in Environment and Resources Studies)。専門はサステナブルデザイン。地域資源、ローカルデザイン、SDGs、東南アジア、多摩地域、竹自転車をキーワードに研究を行なっている。現在、東京造形大学造形学部プロジェクト科目准教授・一般社団法人スペダギジャパン理事・TZU DESIS Lab. ディレクター・タイ国立キングモンクット工科大学トンブリ校建築・デザイン学部客員研究員(2022年〜2023年)。グッドライフアワード(環境アート&デザイン賞)(環境省)・キッズデザイン賞受賞(経済産業省)・桑沢学園奨励賞受賞。
内容紹介
「竹は、南極やヨーロッパを除く全大陸に自生するといわれ、世界全体の竹林面積は約3900万ヘクタールと見積もられています。「竹」の部首を持つ漢字は1181字もあり、日本でも暮らし中で使われる多くのモノが、竹を使ってつくられていました。
今、どこにでもある身近な竹を使った自転車づくりが、世界中で同時多発的に生まれています。
私自身も、本書で紹介している「スペダギプロジェクト(インドネシアと日本で展開されている竹自転車プロジェクト)」に関わっていますが、関わり始めた時、世界中で竹自転車がつくられていたことを知り、驚きました。
興味が湧き、どんな取り組みが行われているかを調べ始めてみると、単に竹で自転車をつくるだけでなく、「地域再生」「村おこし」「新しいコミュニティづくり」「環境保全に活用する」など、地球環境に優しい乗り物の普及というレベルを超えて、SDGs達成を推進していることに気がつきました。
最近では、竹自転車が雑誌やテレビで紹介される機会も徐々に増えてきました。しかし、その取り上げられ方は、竹を使った奇抜性や社会貢献性に多くの関心が払われ、既存の社会をサステナブルに変える社会変革の可能性には目が向けられておらず、過小評価されていると感じています。
「地域活性化」や「地方創生」が叫ばれ、 全国各地で地域社会の持続可能な発展を目的にした様々な取り組みが行われています。竹は成長がとても早く、環境負荷も小さく、地球温暖化を緩和し、どこにでもある植物です。この「竹」を使った「竹自転車づくり」と、竹自転車を活用した「コトづくり」は、竹が豊富にある日本のこれからの新しい地域社会の持続可能な発展モデルとして大いに参考になるのではないかと思います。
本書を、デザインやアートを学ぶ学生はもちろん、是非、デザイナーやアーティスト、地域づくりに関わっている方々に読んでいただき、各地で竹自転車の取り組みが広がればと願っております。」
(著者)