気賀 犬くぐり(再現)

(こ)記

この筵(むしろ)を垂らした道は、犬くぐり道。江戸時代、東海道の脇往還、姫街道(本坂通)にも、気賀に関所がありました。よく、新居関所の厳しい取り調べを避けるために通る女性が多かったから、というのが「姫街道」の名称由来として語られますが、姫街道にも関所がありました。

気賀に関所が設置されたのは、 寛永初(1624)年頃。それまでは、三ヶ日宿の西の本坂村に関所がありました。戦国時代から置かれていたそうです。江戸時代になって気賀に関所が移り、廃止されました。

気賀関所は、住民でも手形が必要なほど厳格でした。街道の真ん中に設けられた関所は、住民にとっては非常に面倒なものだったといいます。そこで、関所の抜け道が作られました。関所の裏にくぐり戸を設け、筵(むしろ)を垂らした下を犬のようにくぐって通行。「犬ならかまわない」ということで、黙認されました。

上の犬くぐりの筵は、細江神社の裏に復元されたものです。今でも、案内看板があり、当時の犬くぐり道をたどることができます。一部、わかりにくかったり、通れない部分もありますが、よく残っていて嬉しくなります。宿場の街道よりも高いところを通るため、宿場や浜名湖が見えたりして、景色の変化も楽しめます。
現在制作中のウォークマップ『ホントに歩く東海道』別冊姫街道(本坂通)(9月中旬以降発行予定)では、犬くぐり道もマップでご案内いたします。

関所は、明治2年に廃止され、現在、天浜線気賀駅の南西に再現された気賀関所を見ることができます。大河ドラマ「おんな城主直虎」に合わせて作られた大河ドラマ館の開館期間中(2018年3月31日まで)は、関所の入館料が無料です。

元関所があった気賀四ツ角には、当時の本番所の一部が残っています。
また、犬くぐりの筵が再現されている細江神社の隣には、「浜松市姫街道と銅鐸の歴史民俗資料館」があります。
主要産業となった藺草(いぐさ)の栽培や浜名湖での漁業の展示、浜松市で出土した銅鐸の展示があります。また、姫街道の絵図や姫街道全体のジオラマは見ていて飽きません。

気賀関所
午前9時 ~ 午後4時30分
http://www.kigasekisho.com

浜松市姫街道と銅鐸の歴史民俗資料館
午前9時~午後5時 入館無料
休館 月曜日、祝日の翌日、年始・年末(12月29日~翌年の1月3日)
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/09annex/hakubut03.html

 

犬くぐり道 西側の入口 呉石バス停 犬くぐり道の西側の入口。遠鉄バス「呉石」バス停横から入ります。
犬くぐり道 入口から上がると墓地 入口から上がると、舗装はしてあるものの、けっこう急な坂です。そして墓地の中を通ります。
気賀 犬くぐり道 西の入口近く 獄門畷 堀川城で亡くなった人を祀る 気賀 獄門畷 小川 西の入口のすぐ近くが「獄門畷(ごくもんなわて)」と呼ばれる場所です。
永禄12(1569)年、旧都田川河口に築かれた堀川城(城主 新田喜齋)は、徳川家康に攻め落とされました。そのときに立てこもった武将とともに、地元の農民らも立てこもりました。落城後、捕らえられ処刑された人数は700名とも。この小川に沿ってその首がさらされたため、獄門畷の名があるそうです。
気賀 犬くぐり道 畑の前を通る 犬くぐり道 畑の前を通る 振り返る 犬くぐり道は畑の中の道を通ります。このあたりは、幅50㎝くらいです。
気賀 犬くぐり道 畑の前を通る 上の写真2点の場所を東林寺から見ました。畑仕事をしている方のすぐ横を通らせてもらいました。
気賀 犬くぐり道 今は道路が通っている 細江神社裏の犬くぐり道。左の坂道は、細江公園の高台に上がっていきます。
気賀 犬くぐり道 もうすぐ行き止まり 細江神社の先は途切れ途切れになっていますが、残っています。対面通行はなかなか厳しい細さです。
犬くぐり道 蓮照寺の中 壁の穴をくぐる 蓮照寺の中の犬くぐり道。墓地東の塀の下にあった穴を這って通り抜けていたという、状況を切り絵で表現している説明板があります。
気賀 犬くぐり道 東の入口 馬頭観音がある。道の奥へは進めない 蓮照寺の東は通れませんでした。国道362号に面したところに馬頭観音があり、このあたりに東の入口があったとのことです。
気賀関所跡 気賀関所跡と現在残っている本番所の一部。気賀四ツ角交差点のすぐ東側、時計店の横から入ります。
再現された関所。規模は箱根関所ほどではありませんが、同じように人形で番所の様子を再現しています。
細江町のマンホール 気賀でよく見かけるマンホール。細江町(現浜松市)で出土した銅鐸の絵があしらわれています。細江町の町章だった澪つくしも描かれています。
気賀宿街道筋 気賀宿の街並み。いいカーブが気に入っています。