福島関所資料館で開催中の企画展「ウォークマップで見る木曽路ーホントに歩く中山道ー」を中心的に進められた木曽町教育委員会の伊藤幸穂さんに、木曽福島のおすすめスポットをご紹介いただきました。関所資料館とともに、ぜひお立ち寄りください。

1.御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)

御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)にある、明治初期の巨大な木製ジオラマ「木曽谷模型」がおすすめです。 

巨大な木製ジオラマ「木曽谷模型」
「木曽谷模型」
明治初期の巨大な木製ジオラマ「木曽谷模型」
明治初期の巨大な木製ジオラマ「木曽谷模型」


※令和5(2023)年1月に木曽町有形文化財(歴史資料)に指定。

模型が展示されている、昭和2年建築の御料館も、木曽町有形文化財(建造物)となっています。約2年の復元改修を経て、平成26(2014)年から一般公開を開始しました。

御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)
御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)

そして平成30(2018)年、日本森林学会が、近代林政史を物語る貴重な資料として「旧帝室林野局木曽支局庁舎と収蔵資料群(「木曾谷模型」を含む)」が林業遺産に認定、令和2(2020)年には、文化庁の「日本遺産木曽路-木曽路は全て山の中 山を守り山に生きる-」の構成文化財として追加認定を受けました。

模型は、明治14年に東京上野公園で開催された第2回内国勧業博覧会に出品され、作者に「褒状」も贈られました。

第2回内国勧業博覧会
第2回内国勧業博覧会 揚州周延画 浮世絵(個人蔵)明治14年

2.木曽代官山村氏の下屋敷と庭園を公開(山村代官屋敷)

江戸時代初期から幕末まで続いた山村家による木曽谷支配の歴史のなかで、特に名君といわれている、第9代 山村良由(やまむらたかよし、号「蘇門」)の没後200年にあたる本年(2023年)は、秋を中心に関連フォーラムや企画展が行われます。詳細はこちら

2023年10月 山村蘇門展 チラシ

山村代官の最も重要な仕事だったのが、福島関所を守ることでした。

3.木曽町開田高原の「木曽馬の里」と木曽馬と草地利用の歴史

御嶽山 開田高原から
御嶽山 開田高原から

御嶽山麓に広がる標高約1100mの開田高原では古くから、本州唯一の在来馬、長野県天然記念物 木曽馬が飼育されてきました。かつては、木曽地域に暮らす人々の生活に木曽馬は欠かせないものでした。しかし、戦後の生活様式の変化や農業の機械化が進むと次第に飼育農家が減り、今では約140頭が残るのみです。しかし開田高原の観光牧場「木曽馬の里」には35頭ほどの木曽馬が暮らしており、木曽馬を間近で見学することができ、乗馬体験も可能です。

木曽馬の里
木曽馬の里

雄大な御嶽山の景観は、多くの人々を魅了し、四季折々の自然が人々を癒します。ふもとの里では、春先に、地元住民が伝統的な草地の管理方法である野焼きを行っており、景観を保つことと、生物の多様性を保つことに一役買っています。

また、かつては木曽の山々のどこでも見ることができた草山・里山から刈り取った生草や干し草を木曽馬に与えていた当時の暮らしを未来に伝えるため、地元住民有志らが草刈りなどを行っており、昨年「未来に残したい草原の里100選」(同選考委員会による選考)に「開田高原の半自然草地」が選ばれました。

木曽馬 ニゴと草カッパの会
ニゴと草カッパの会

※記名の無い写真は、木曽町または、木曽町教育委員会提供です。

木曽町教育委員会 伊藤幸穂(2023年4月)

【参考】

木曽福島関所資料館HP
木曽町マップ展HP
関連マップ 『ホントに歩く中山道』第8集(野尻〜原野)№32

企画展「没後200年 木曽の名君 山村蘇門」~交流と探求の足跡~

場所:山村代官屋敷
   長野県木曽郡木曽町福島5808番地1 
期間:2023年10/28(土)〜12/17(日) 8:30~16:30
料金:大人300円

木曽町の企画展HP
https://www.town-kiso.com/event/100376/

2023年10月 山村蘇門展 チラシ
2023年10月 山村蘇門展