160616haiyama

最初、ここを通ったとき、新しい道路を造るために山を削ったのかと一瞬思った。しかし、違った。現調(現地調査)時も道路建設中だったが、湖南市発行の1万分の1地形図に、その道路の記載はなく、地図と現地との照合で現在地確認でちょっと戸惑った。よく地図を見ると、道路の予定線が細い線で描かれている。それにしても、この削られた山の姿は印象的だ。ここは「石部金吉」の語源となったことで有名な金山の一帯である。(石部金吉=頑固な人のこと)

湖南市1万分の1地形図 石部・伊勢落 国道1号バイパスの予定線が描かれている(黄色いライン)。上道が緑、下道は赤いライン。上の写真は、A地点から見たもの。山と書いてあるのが見ている山。バイパスの歩道にあがる階段に登ることができた。
印象的な姿の山(湖南市) かつて石灰を採っていた山。金山ではない。急斜面の階段は登りたくなる人もいる。近くで金山と呼ばれたところも実際に採掘していたのは銅で、しかもかなり古い時代のことである。

東海道51番目の石部宿を出て西に向かう。JR草津線沿いに進んでいくと、建設中の国道1号線のバイパス栗東水口道路の高架が立ちはだかる、その横に不思議な形をした山。石灰をとっている山である。

東海道、五軒茶屋と上道の説明板 上道と下道の分岐点に立つ案内板。上道に折れてすぐに渡る橋は、五軒茶屋橋という。
このあたりで東海道は上道と下道に分かれている。上道は南側へ大きく迂回し山の中を通っていく道。下道は野洲川沿いの、現在は草津線と並んでいく道である。下道の方が古い。このあたりは野洲川の氾濫原で、天和3(1683)年の洪水後、上道が開かれた。実際には下道のほうが近道のため、禁制札が立てられても通る人が多かったという。上道には旅人のために五軒の茶屋が設置され、字名にその名が今も残る。
下道はJR草津線沿いを進む 上道の五軒茶屋の集落
下道。草津線のすぐ脇を通る。
平坦。草津線の北川には国道1号が通り、すぐ野洲川が迫っている。
上道の五軒茶屋集落のあたり。
農家や集会場などがある。緩い登り坂になっている。

 

採石中の山 周囲では今も採石が続く。どうやってユンボはあんなところまで登ったのだろう。
今は国道1号のバイパスを建設中で(栗東水口道路。岩根から栗東市上砥山までの延長11.2㎞、本線4車線・側道2車線の道路として計画)、上道も下道もその高架の下をくぐって通過する。
近江富士、三上山 下道は名神高速道路沿いを北上し、伊勢落集落の手前で下道と合流する。名神から正面に近江富士が見える位置に近江富士の案内板。形よい山は、野洲市三上にある三上山。標高432mで、その姿から近江富士の名がある。東海道からもよく見える。
「ホントに歩く東海道」第14集(土山〜草津)2016年7月発行