2020年4月24日(お)記

地図読みの入門編は、前回(第1回)の例のような、まずは地図記号と現地との照合作業です。
予め勉強しなくても、ぼんやりと地図を眺めると、必ず地図記号があります。
例えば、もしお手許に『ホントに歩く東海道』第10集があれば、MAP No.37のmapAをご覧ください。なくても大丈夫、次の部分地図をご覧ください。

『ホントに歩く東海道』第10集 マップ№37

『ホントに歩く東海道』第10集 №37 mapD

この区間は、たぶん、どのガイドブックにも見所解説はないでしょう。
特に風景がいいわけでもないので、何もない区間として、ひたすら早足で歩くでしょう。実際も殺風景です。

ホントに歩く東海道10集 小田渕 工場

『ホントに歩く東海道』第10集 №37 小田渕の工場

でも、地図を眺めていると、この区間、狭い範囲に地図記号が密集していて、「なんだろう?」と思いませんか。
同じ地図記号がペタペタと建物に付けられていますが、この地図記号は、工場の記号です。
上の写真が、工場地帯を通る旧東海道です。地図のとおりに工場があって、当たり前なのに、なぜか少し楽しくなりませんか。

狭い範囲に地図記号が密集している例は、他にもたくさんあります。しかも工場のような殺風景なところばかりではありません。
例えば薩埵峠(静岡市)のミカン畑小夜の中山(掛川市)の茶畑の地図を見直してみてください。
季節によって、ミカン色やお茶の色が密集して、圧巻の光景に出会います。地図記号から想像できますか?
果樹園や茶畑の地図記号に○印をつけていくと、街道沿いだけでなく、現地に行かなくても、どの範囲まで畑が広がっているかがわかります。
広大なキャベツ畑の光景が忘れられないほど印象強かった、街道の区間もありました。史跡も街もない、畑記号だけの区間ですが。

『ホントに歩く東海道』第7集 №26 mapD 掛川 茶畑記号がいっぱいです

『ホントに歩く東海道』第7集 №26 mapD 掛川 茶畑記号がいっぱいです

ホントに歩く東海道』第5集 №19 mapD 薩埵峠 怒濤のみかん畑

ホントに歩く東海道』第5集 №19 mapD 薩埵峠 怒濤のみかん畑

地図記号や地図の地形読みから、物語の扉が開かれることもあります。
なぜ、ここに工場が集中してできたのだろう。何を製造している工場なのだろう。どこから材料が来て、どこへ製品が出ていくのだろう。働く人はどこから来ているのだろう。
地域史や産業、さらに日本の歴史、事件にまでつながる物語のページが繰れるかもしれません。
私は、ここの扉を開かずじまいですが、他の地図の扉では、ページを開いた物語もありました。

関連図書
『ホントに歩く東海道 第10集』(御油<小田渕>〜岡崎<新安城>)
ホントに歩く東海道 第10集

『ホントに歩く東海道 第7集』(藤枝~袋井)
ホントに歩く東海道 第7集

『ホントに歩く東海道 第5集』(元吉原~清水<江尻>)
ホントに歩く東海道 第5集