作業は、地図だけでなく、同時に編集部では初校準備を進めてきました。s-okさんからお借りした写真原板(よく整理されていて驚き)のうち、紙焼のものは弊社でスキャニング。全ページの仮組版から、書体、級数、マスターレイアウトを整理した本番用マスターを作成して、全ページを修正、整理。そのページ上の仮画像データを上記の本番用画像データに置き換えました。
 残念ながら本文図版はモノクロです。
 余談ですが、紙媒体の書籍というもののすばらしさは、インターネット一辺倒の人がおられたら、ぜひ再発見していただきたいと思っています。本書は、そのいい例になると自負しています。
 私自身は、デジタルの世界に多大な恩恵を受けていて、その無限の可能性に価値を見いだす者ですが、同時に、アナログの「モノ」の世界の「味」が、切なく好きです。
 モニター上に現れるものは、いわば光です。電源を落とせば消えます。書籍のページは、手に触れられる紙というモノです。私はよく、「なでるように本を読んでいる」と人から揶揄されますが、新しくできあがった本などは、インクのにおいを嗅ぎながら紙面を指でなでてしまいます。
 その紙面の表現力を味わってください。
 閑話休題。全ページの本番用の整形作業が終わると、いよいよやっと初校出しですが、その前にひとつの大きな節目があります。その話はこの次に・・。
 それから、内容の案内をまだしていません。それもお楽しみにしてください。でも、予約は今すぐしてくださいね(発売まではご予約は自由に取り消せます)。なぜ早いほうがいいかというと、予約者には、重大な変更などの情報をメールにて行う場合があるためです。
 さて、地図作りはいよいよ佳境に入りました。経過を今一度まとめておきます。
 西丹沢地域の国土地理院の2万5千分の一の地図を6枚(大室山・中川・御正体山・山北・駿河小山・須走)をそれぞれ4分割のデータファイルにします。このとき、現在実験的にPhotoshopの出力レベル調整で入力値を極端に140まで高めて、等高線のすべてが現れるようにしています。このことの難点は、地形図がやや黒々として、かえって全体として見にくくなります。雰囲気として、見やすい地図か、細部がわかる地図かの分岐点です。
 6枚の地図の4分割で、24本のファイルができました。前記したように、ファイル名はたとえば、「中川上右」「中川上左」「中川下右」「中川下左」ですが、本書の地図名では「上右」の代わりに北東。以下、北西・南東・南西に置き換える予定です。
 そして1ファイルは原寸でちょうどぴったり見開き2ページに配置でき、同一ファイルの右左(東西)に2分割します。つまりページ数としてのトータルは、これで48ページになります。
 このうち、最初からコースにかからない地域のファイルを除くと12ファイル24ページになります。これを16ページに収めたいのです。
 コースを地図上にすべて入れた上で、見開きページのうち片方の1ページにコースがかからないものを削除しました。それで19ページになりました。残り3ページのうち2ページは、そのページに1か所だけ端の方がかかるだけなので、続くページの方にくっつけました。最後の残りは「至る駿河小山駅」と書いて省略することもできるのですが、16ページ目に当たる地図の上半分がコースの空白なので、そこに入れることにし、めでたく16ページに収まりました。この地図のページの関係は表にまとめました(未、近日アップ予定)。
 昨日までに、16ページの構成、経路入れ、写真相番号入れを終えましたが、コース線が太いのと、相番号の文字が大きいので、今日、全ページの改変を試みました。
 コース線は細くすると、例えば尾根のどちら側を巻いて通ったかが示されてしまい、実際上今の段階では正確に書き入れることは編集部では不可能です。ですから、線をわざと太くして、つまり曖昧にして、「この辺を通る」というようにしておきたかったのですが、そうしたものは、少しダサい感じで、地図を汚し気味です。それで思い切って線を半分の太さにしましたが、案の定、これでいいのかと困ってしまいました。読者の皆様には、あくまでもコースの概念であることを喚起しておかないと、危険でもあります。
 それから、地図読みをする方はよくご存じでしょうが、2万5千分の一の地図上の登山ルートは、実際の登山道と違っていることがあります。これも検証して正確に入れることは今は不可能です(GPSによる行動軌跡でも使えば可能かもしれません)。
 地図読みの講習会ではっきり教えてもらって、実際に違っている箇所も知っていますが、本書では、2万5千分の一地図記載上の登山道に関しては、on the routeとして「その登山道を歩いた」ということにします。
 しかしまだ、このような方向で最終的にうまく行くかどうかは、不明です。