『ホントに歩く中山道』の全17集が、ようやく完結しました。FacebookもXもあまり熱心ではないのだけれど、中山道はなんと6年がかりの踏破・刊行完結なので、自分の記録としても記しておかねばと思いました。
『ホントに歩く中山道』第17集のご案内
https://www.fujinsha.co.jp/books/h/n/9784910793085-2/


と言っても、いっぺんに思いの丈を身構えて記すことは無理なので、まあ、ぼちぼち、いい加減ながら、気の向くままに記録してみたいと思います。
 「未知の道」シリーズから、「ホントに歩く」シリーズで『ホントに歩く東海道』を発刊したのが2012年でした。東海道は5年がかり、中山道は京都から東京への復路として、2018年の第1集発行から今年2024年の東京日本橋到達まで6年越しとなりました。
 とりわけ最終第17集は、本当はインターバル3ヶ月の原則が6ヶ月もかかってしまいました。埼玉・東京の都県境の荒川戸田橋を渡ってからは、板橋・本郷・日本橋と、とうとうゴールかと思うと、なにか名残惜しい気持ちいっぱいの街道歩きになりました。
その間、街道地形、道の理由・道の気持ち、街道地図とは何か、などについての講演や雑誌記事掲載などもたくさんさせていただき、「ホントに歩く」街道マップについて言いたいことは、体いっぱいに溢れています。

 そのなかで、今回、初めてお伝えしたいと思ったのは、日本アルプスを登る登山家には、中山道はとても関係深い道であるということです。登山家には、下山して平坦な道を歩くのをとても嫌がる人がいます。山歩きと街道歩きは別趣味と思っておられることが多いようです。

 しかし、私が街道地形のマップにはまった理由の一つは、かつて在籍した山岳会でバリエーションルート(整備登山道として登山道に記載されていない道)の藪漕ぎ地図読み山行の面白さを、平地の地図読みに応用したからでした。私たちのマップを利用していただいている人の中で、登山が趣味の人からの共感が特に強いのは、そんなこととも関係していると思っています。
それに、中山道は、第17集最終マップに収載した「街道地形概念地図」の解説で記したように、日本の背骨、中央山岳帯の南アルプス・中央アルプス・北アルプス南を越えて東京・京都を結ぶルートです。島崎藤村の『夜明け前』は、「全て山の中」の木曽路の旅です。日本近代史も歩きます。名山の麓に生きる村民の生活・経済・歴史・産業・文化・名物などなどに、歩く道で出会います。山の頂に立って得る感動の世界を街道歩きの体験からさらに広げ、深めていただけたら嬉しいな、と、今、思っています。

 深田久弥の『日本百名山』の選定3条件の二つ目に、麓の「人間と深い関わりのある山」があり、中山道はまさにその麓の村を通ります。
 宣伝しますが、中山道に興味がなかった人も、実際に歩かない人も、第17集の「中山道69次宿場一覧地図」と前記の「街道地形概念地図」は、地図読みで中山道を目で歩き、「中山道とはどんな道か」を概観できますので、手にしてほしいな、と願っています。
写真は校正ゲラ

(お)記