まだ私が就職前の20歳代のときのことでした。
イラストレータYさんのご自宅をお訪ねしました。
アテネフランセでYさんの奥さんと同じクラスだったことがあり、私が滞仏中に、古今亭志ん生の落語テープをお土産に持って訪ねてこられたこともありました。

私が帰国したとき、そのお礼やご報告もあって、ご自宅にお訪ねしたのでした。
そのとき、食事をごちそうになったのですが、私の食べる様子をご夫婦でじっと見ていられる視線に気づいて、「どうかしましたか?」とお聞きすると、「さすが、フランス帰りですね」と言われました。

えっ、いったいどこが? 
「一皿一皿!」

味噌汁に手を付けると、まずそれだけを食べ終え、次に漬け物を食べると、それだけに集中と・・・。
これって、和食では行儀が悪いという人もいて、「三色(三角)食べ」を給食で教えられたという人もいます。
Yさんは、フランス料理のフルコースを一色(食)ずつ配膳される通りにきちんと食べる姿として、私の食べ方を好意的に見てくれたのでしょう。 じつは、単に私が行儀悪かったに過ぎないのに。

Yさんは、当時、イラスト入りのコラムを月刊誌に担当されていて、そこに、「一皿一皿」というタイトルで、私のそのときの様子を面白可笑しく書かれたのを、後日見せてもらいました。
そして、どうやらその後も私がコラムのネタを提供し続けていたらしく、3回ぐらいはその連載コラムに私が登場しました。

一皿一皿 柳生弦一郎 京都ホコホコ話 学研 フェアレディ

そんなことを思い出したのは、今年年初から、一つ、意識的に仕事のやり方を変えたことにあります。
仕事の「一色食べ」です。一つの仕事をやり始めたら、その仕事のある程度の目標が終わるまで、別の仕事に手を出さない。 今までは、まるで「三色食べ」で、作業の途中でもっと重要なことがあると思ってそちらに移り、また途中で違うことをやり出す。それが全て順調にいけば、「3色食べ」 のように全ての仕事が同時に見事終わるのですが、たいがいはどれも完全に終わらず、中途半端だったことに気がつきました。

新年からのこの方針で、今日、今もこのブログは、終わるまでこの仕事(仕事中にやっているので)をします。

2013年01月09日 (Wed)FC2ブログ 風人社OHの編集手帳からの転載