(お)記

松本市の信毎メディアガーデンで開催中の「三宅修と岳の父子写真展」に行ってきました。

三宅修と岳の父子写真展 会場b

ゆったりとした時間を展覧会場で過ごすことも大事だなと思いました。昨日の松本行きの目的は、このためだけだったので、そんな時間が過ごせました。そのおかげで、会場では思わなかったことまで、帰路の電車「あずさ」の中で、いろんなことを思いました。さらに一夜明けた今朝は、もっといろんなことに気づきました。
作品の前でご本人からの解説が聞けるという、珍しく貴重な体験でした。行って良かった。「なぜ山に登るか」というのは、山と共にどう生きてきたか、今、これから、山と共にどう生きるか、その人生のありようを自分で見つめるということですね。

「あずさ」の中で、喩えとしての「山」、例えば、自分の仕事(出版)は、なぜそれに登るのか? と問われているようなものです。私の性格が元が半可通、いい加減なので、この問いをシリアスに考えたわけではありませんが。
何度も会場の写真の前を通り過ぎたり、立ち止まってじっくりみたり、そして解説を聞いたりして、そして、1枚の写真を見ていると、写真家との対話が生じるようなときがあります。それが作家の人生を語ってもらっているということですね。

三宅修と岳の父子写真展 ギャラリートーク 三宅修

修さんの写真、どれも迫力がありましたが、私の貧しいリアルな山の体験からは、「剣」の2枚が印象強かったです。岳さんは、会場でのサイン応対でも、本当に気さくで、気取らない方です。写真には、岳さんの人生の中のしっかりとした生活が写っている気がします。『山に生きる』と同様に、素晴らしい仕事だと思います。

三宅修と岳の父子写真展 ギャラリートーク 三宅岳

 

会場には、明日納品になる弊社の新刊『ホントに歩く中山道 第13集』のゲラのコピーをお持ちしました。
じつは、本書の一文に妙義山に触れた個所があり、三宅修さんの『現代日本名山図會』から引用させていただきました。できあがっていたら、現物をお持ちできたのに、残念でしたが、修さんから『現代日本名山図會』のお話を直接お伺い出来たのは幸運でした。

三宅修『現代日本名山図會』

三宅修さんの『現代日本名山図會』

この本は、素晴らしい本です。松本から帰って、今、見直すと、巻頭の串田孫一の文には、会場で最初に修さんが話された、修さんと串田さんの出会いの話がそっくり書かれていました。
修さんの一文を弊社本に載せさせてもらって良かった。妙義山のひとこと説明としても秀逸だと思いました。

『現代日本名山図會』 三宅修 サイン

会場の受付には、弊社で発行させていただいた、浅井紀子・著、三宅岳・写真の『道しるべに会いに行く』も展示されていました。
本書に私も編集後記の一文を書かせていただきました。そのなかで、岩田さんが不老山を「命の山」と呼んだことを書きましたが、三宅さんの写真展「なぜ山に登るのか」は、まさに岩田さんの「人生と山」のことを連想させました。
修さんも岩田さんも、「山に救われた」と。そうすると、岩田さんの道しるべは、修さんの写真と同じ。岩田さんの写真展なのか、と。その人生の表現なのだと、新しく思いました。
これも、写真展のおかげです。三宅さん、ありがとうございました。

展覧会は、6月30日まで開催されています。ご関心ある方は、ぜひ、ご覧になってください。

[朗読と音楽 串田孫一]5周年特別関連企画
「なぜ山に登るのか」山岳写真家・三宅修と岳の父子写真展
https://www.shinmai-mediagarden.jp/event/4113.html

三宅修と岳の父子写真展 会場『現代日本名山図會』巻頭の串田孫一の文