8月19日、濃尾・各務原地名文化研究会主催の講演会、無事終了しました。
7月17日の投稿
会場定員120名に対して、124名の満席参加でした。
講師としてお招きいただいた主催者の「濃尾・各務原地名研究会」様には、心より厚く御礼申し上げます。翌日の「中日新聞」地域ページでもご紹介いただきました。

「中日新聞」朝刊 2023年8月20日
「中日新聞」朝刊 2023年8月20日

講演タイトル「中山道をよむ−地図と地形−」
講師:大森誠(風人社代表取締役)
開催日時:2023年8月19日(土)13時30分~15時30分
会場:各務原市産業文化センター 第3会議室(2階)
主催: 濃尾・各務原地名文化研究会
後援:各務原市教育委員会、中日新聞社

目次
1 街道マップとは
2 道の理由・道の気持ち
3 中山道・木曽路の地形
4 峠のドラマ(碓氷峠)
※目次の小項目は、文末に掲載しました。→こちら

まず、反省点の一番は、私の講演の話しぶりが下手。内容的に多すぎて時間が気になり、早口で、話題が飛んで聞きづらかった のではと、反省しました。マイクとポインターの操作も下手で、それも参加者をいらだたせたと思います。

それから、奥行きの深い会場だったため、後ろの方にはスライドの画像が見づらかったと思います。また、そのために用意された配付資料の、地図が多かったのですが、印刷が不鮮明で役に立ちませんでした。内容に関する重要な資料は、こちらで準備すべきだったと反省至極でした。

2023年8月19日 講演会の様子

よかったことは、書き漏らすほどに多くあります。
まず、内容について、アンケートやメールなどでそれぞれの違う観点で、「こんなところが?!」という細かい個所を指摘してくださった上で「面白かった」「役だった」との感想をいただきました。終了後、上記の反省でしばらく落ち込んでいましたが、これらの感想を伝えていただき、やっとやってよかったと少し安心できました。

それから、マップができるまでのプロセス、地図入手から現地取材、編集、制作、発行までの裏話は、特に好評でした。私どももお伝えできて嬉しく思いました。

主催者のご配慮で、会場では、マップとTシャツの販売をさせていただきました。これが予想外によく売れました。
直にお客様とコミュニケーションできる貴重な機会で、大変ありがたかったです。

産業文化センター前の「喫茶ふじ」
講演会場の産業文化センター前の「喫茶ふじ」。入ったらチラシが貼ってありびっくりしました。

内容は、4部構成。
前半の1と2は地図と地形、「ホントに歩く」マップの説明。道のカーブのでき方ついては、東海道の藤枝と南草津を例に、その地域の歴史、産業、人々の生活を物語っていることを話しました。

後半の3と4は、中山道の木曽路と碓氷峠をテーマとしました。
木曽路は、島崎藤村の『夜明け前』の世界と、浅田次郎の『一路』の「与川越え」の地形を地図で掘りさげました。
ここを測量した伊能忠敬の測量図の筆が「震え」ているように見えるのは、街道が多くの沢筋を越えるときの「カーブ」であることが、現場を歩くと納得できることをお話しました。

4部の碓氷峠は、話題満載です。中央分水嶺のこと、和宮道、明治天皇道のこと、街道の尾根替えの話など。長野群馬県境の碓氷峠を越える国道18号(旧国道)には、184回ものカーブがある理由を地形図から読み解きました。
また、鉄道の碓氷線(ヨコカル線)の峠越えを、地図で国道18号と対比することで、トンネルと橋の連続について解説しました。

以上です。後半の3と4は、その一つだけのテーマで話した方がよかったかもしれないと思いました。
今後、短い時間で話せる機会があればそのようにしたいと思います。
いずれにしましても、このような貴重な機会をいただけたことに感謝申し上げます。
中山道16集の制作のさなかで、どうなることかと思いましたが、多くの方に聞いていただき、またお言葉をいただき、マップを発行してきてよかったと思いました。
ありがとうございました。

(お)記

講演会目次詳細

1 街道マップとは
・街道マップを発行するまで
・マップと地形図の違い
・国土地理院地図 明治迅速測図 伊能忠敬測量図
・街道マップとはどんなものか どのように作り、どのように楽しむか
・なぜ、1万分の1地形図にこだわったか。25000分の1との違い

2 道の理由・道の気持ち
・水の流れ(川の道)と人の流れ(人の道)の道の形
・直線・カーブ・曲尺手は、なぜその形になるのか
・道は地形のどこにできるか 尾根・沢・トラバース・コルとゴルジュ
・駅路と伝路
・藤枝のカーブ 道が語る日本と地域の歴史
・南草津のカーブと凹凸 道が語る地域の産業と暮らし

3 中山道・木曽路の地形
・島崎藤村の『夜明け前』と浅田次郎の『一路』 日本遺産の道
・与川越えと与川道 地形がつくる物語・伝説・史実
・木曽福島の御料館展示の木曽谷模型
・伊能図の筆の震え 小刻みなカーブの理由と旧道の痕跡

4 峠のドラマ(碓氷峠)
・中山道の峠は中央分水嶺を越える
・街道の尾根替え 和宮道と明治天皇道
・鉄道碓氷線と国道18号 連続する橋とトンネル 
・184回のカーブ道