(こ)記
澄み渡る青空の堤防は、静岡県・天竜川左岸の池田です。かつて対岸の浜松市の中ノ町村との間は、「池田の渡し」が結んでいました。
この場所には、明治16(1883)年に架けられた池田橋がありました。橋は、昭和8年に取り壊され、現在は対岸に渡るには下流の天竜川橋と新天竜川橋を使います。
池田の渡し場は上中下の3箇所があり、この写真の付近は「上の渡し」でした。普通は下流の「下の渡し・中の渡し」を使い、増水時に「上の渡し」を利用したそうです。
池田は、古東海道時代は物流も盛んで、宿場として栄えていました。江戸時代は、渡し場として栄え、茶屋や宿屋もありました。
かつての天竜川は暴れ川で、平安時代は池田の東側を流れていたといいます。15世紀末に池田の西側に流れが変わり、その後も流路を変え続けました。
『ホントに歩く東海道 別冊 姫街道』マップNo.6のコラムは、「天竜川の渡河風景」という内容です。広い河川敷は歩いても渡れそうなところもありますが、1977年に船明(ふなぎら)ダムが出来る前は水量がかなり多く、歩いてという感じではなかったのでしょう。広重の「東海道53次 見附」では中洲の中継ぎはしていますが、徒歩での渡しは描かれていません。
『ホントに歩く東海道 別冊 姫街道』には、伊能忠敬が江戸時代に測量した測線も示しました。ぜひ興味のある方はマップもご覧ください。