グループでにぎやかに山を歩くのも楽しいものだと、知りました。しかし、一人で静かに山を歩くのは、また別次元の豊かな時間を授かるのだと、この本は教えてくれます。
 奥深い山の未知の道を単独山行するのは、知識・技術・経験・モチベーション・・・などが揃わないと実現できません。危険が伴うので、誰もが簡単にできることではないのです。
 「単独行はやらない」という方のほうが多いのは当然です。そういう方にも、きっと本書は価値あるものとなるでしょう。自分は一人では行かないで、本書の中で単独行の妙味を味わうことができる、それが本書の魅力の一つです。
 本書の制作途中に、s-okさんのHP「ようこそ! 山へ!!」(誰も知らない丹沢)を訪れた人の通算カウントが15万ヒットを超えました。その中で、掲示板を訪れるなどの熱烈なリピーターの方は、s-okさんの同志として、本書を読む前からその魅力を知っています。
 けれど、ガイドコースしか行かず、それも誰かにリードしてもらってしか山を歩いたことのない人が、もし人に勧められたり、偶然にでも本書を読まれて、そしてまたもし、本書から何かを感受して下さる受容の域をお持ちだったとしたら、絶対、この本はお得です。
 これからの山歩きが、今までと変わらない集団山行であっても、本書が自分の山歩きをもっと豊かなものにしてくれると、編集子は信じています。
 だから、本書は販売圏が首都圏、特に地元の神奈川県になりますが、実は、丹沢好きの人だけが対象でなくてもいいのです。むしろ、日本全国の山歩きの好きな人が、自分の好きな山を想いながら、見知らぬこの西丹沢山塊の神秘の世界に触れて頂きたいのです。
 そのための詳しい地図です。普段はあまり地図を見ない人も、本書ではしっかりと辿ってみてください。面白いですよ。

 予定どおり、12月21日に本書を無事?校了しました。制作面では、カラー地図集が見事だと自画自賛です。本文の詩的な文章にリアルな正確さという背景を敷くことができて、さらに文章をよく味わっていただけることにお役に立つのではないかと嬉しく思っています。
 なお、本書予約者には「予約者通信」(発行後は「愛読者通信」に移行)をお送りしていますが、もし書店などで本書をお求めになられた方は、本書に挟まれた「愛読者カード」をお送りください。「愛読者通信」をメールにて配信いたします。

 いよいよ12月28日に本印刷が刷了します。そして、1月6日、製本所の仕事始めにこの本は製本されます。もうしばらくお待ちください。

 編集部