伊勢原市大田地区の大山灯籠

神奈川県中央部にある大山は、夏の間、昔から多くの参詣者が訪れてきました。江戸時代は、現在阿夫利神社下社がある本坂入口から山頂までは聖域で、夏山の間(旧暦6月28日~7月17日)だけ登ることができました。その間、参詣者のために各地の大山道沿いに大山灯籠が立てられ、灯りが毎晩灯されたそうです。伊勢原・平塚・秦野は大山に近いこともあり、大山道でないところにも立てられたそうです。

2016年7月30日、神奈川県伊勢原市小稲葉地区の4基の大山灯籠に解説看板がかかげられました。「ISEHARA・おもてなし隊」が3年かけて取り組まれてきた成果です。説明看板には英訳文も掲載され、国際観光都市伊勢原に相応しいものです。

ISEHARA・おもてなし隊は、2015年に伊勢原歴史アドバイザーの有志で結成されました。会長の斎藤勢吾さんは、弊社のKAZESAYAGEにもご寄稿いただき、大変お世話になっています。現在活動中のメンバーは9人で、伊勢原の歴史に関する情報発信や、講演、ボランティアで市内の観光地ツアーなどを行われています。

今回説明板が設置された4基の灯籠は、7月28日から8月17日まで火が灯されていました。この時期だけで、17日が終わると灯籠は来年までしまって保管するそうです。夜になると町内の方が順番に火を灯し、最後に当たった家が灯籠を保管すると聞きました。設置のために穴をあけたりせず、カーブミラーや側溝などを利用し、その工夫が光ります。
看板も、同じように周囲の環境に傷をつけないよう設置されていました。
それぞれの灯籠は個性的で、大事にされている雰囲気が伝わってきます。今でもこのような風習が残っている事に感動します。斎藤さんは伊勢原の無形文化財第一号を目指すと書かれていましたが、相応しいと思いました。ぜひ来年(すみません、アップが遅くて)

小稲葉地区の大山灯籠位置図(設置看板より)
小稲葉地区の大山灯籠位置図(設置看板より)
小稲葉地区の大山灯籠
下之町大山灯籠 仲西の大山灯籠 八坂前の大山灯籠 大田の大山灯籠
①下之町の大山灯籠 ②仲西の大山灯籠 ③八坂前の大山灯籠
八坂神社の向かいにあります。
④大田の大山灯籠
だいたと読みます。

詳しくは、おもてなし隊の斉藤勢吾さんのブログを御覧ください。

http://blogs.yahoo.co.jp/saiseigo2/archive/2016/7/30(リンク切れ、2020年8月4日現在)

義家文部科学副大臣も、灯籠を見に来られたブログには、夜、火が灯った灯籠の写真があり、美しいです。
http://blogs.yahoo.co.jp/saiseigo2/archive/2016/8/19(リンク切れ、2020年8月4日現在)

ISEHARAおもてなし隊の調査を元に作られた産業能率大学の大山灯籠のページ
https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kyoudo_archives/ooyama/sanno_univ/know/tohroh/index.html

 

8月13日、大山灯籠を見に行きました。下小稲葉地区は大山に近いこともあり、糟屋通り大山道、柏尾通り大山道、田村通り大山道など、多くの大山道が近くを通っています。灯籠が設置されている場所は、③八坂前と④大田は糟屋通り大山道ですが、①と②は大山道から外れています。斎藤さんのHPにあるように、大山への献灯という意味があったのでしょう。

JR相模線の門沢橋駅から柏尾通り大山道に出て、相模川を渡ったところから南下して平塚市に入り、笠張川、玉川緑道を越えて伊勢原市小稲葉地区に至りました。おもてなし隊作製のマップの①〜④へと辿りました。

①下之町地区
下之町の大山灯籠 宮大工さんが作ったのかなと思うような凝った造りです。大天狗、小天狗、町内安全、五穀豊穣と各面に書かれています。
下之町大山灯籠の説明看板
下之町大山灯籠の中身 蝋燭を入れるために開くようになっています。
②仲西地区
仲西地区の大山灯籠 重田酒店さんの横の「横断歩道」(今回初めて知りました)の交通標識を支柱に見事に建てられていました。
仲西地区の大山灯籠説明看板
仲西地区の大山灯籠、グローランプ グローランプがあり、電気式の灯籠です。
③八坂前地区の大山灯籠
八坂前地区の大山灯籠 曲りの残る枝に風格が漂っていました。火袋は奥以外の三面にガラスがはめ込まれています。
八坂前地区の大山灯籠の説明看板
④大田地区の大山灯籠
大田地区の大山灯籠 水田をバックに真っ赤な灯籠が映えます。
大田地区の大山灯籠の説明看板
大田地区の大山灯籠の足場 灯籠の柱は、側溝の蓋と出っ張りを利用して固定されています。
大田地区の大山灯籠の説明樺の設置の工夫 看板のほうも、隣のカーブミラーの柱を保護する紙が巻かれていました。
平塚市大島の大山灯籠 ①下之町地区の大山灯籠の西にも大山灯籠があります。ほんの200m程の距離ですが平塚市が伊勢原市に凸形に出っ張っているところで、大島地区になります。
平塚市大島の大山灯籠 角柱が地面にしっかり建つための溝がありました。

灯籠を見た後、糟屋宿へ出て大山街道(青山道)に合流しました。久しぶりに伊勢原の大山道を歩き、改めて大山道はいい道だと感じました。来年、ぜひ夏山の間に訪れてみてください。
周囲の大山道散策には、『キャーッ! 大山街道!!』がオススメです。糟屋通り大山道でも、田村通り大山道でも、柏尾通り大山道でも、朝、起点(平塚、藤沢、戸塚等)を出発し、灯籠に火が灯る夕方頃に通れるといいですね。伊勢原駅や愛甲石田駅からバスや歩いて向かうこともできます。(こ)

大山の夏山、行事などに関しては宮崎武夫著『相州大山 今昔史蹟めぐり』に詳しい記述があります。

伊勢原・平塚地区の水田 不思議な田植えのされ方がなされた水田がありました。
熟れたきゅうり 熟れて黄色くなったキュウリが捨てられていました。
お盆のかざり お盆の時期だったので、多くの家の前になすとキュウリの飾り物がありました。
伊勢原ジャンクションの高架の柱
渋田川沿いの糟屋通り大山道を進んで行くと、伊勢原ジャンクションの為の橋脚がたくさん建っていました。大山街道(青山道)のすぐ近くと思います。
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正安寺入口交差点に国道129号を挟んで山田うどんと同じロゴマークのラーメン食堂かかしがありました。かかしも山田うどんの別業態のようです。よく見るとロゴのかかしの顔の鼻(口?)の部分の向きが両店で上下逆でした。
高部屋神社 大山街道沿いの延喜式内社高部屋神社。海草が鳥居の注連縄につけられています。
高部屋神社文化財 今年2016年2月に本殿と拝殿、弊殿が国登録有形文化財に登録されました。
高部屋神社新しい説明看板 それに合わせてか、鐘楼がきれいになっていたり、新しい説明看板も設置されていました。
糟屋通り大山道、石造物 大田地区の道標付近。ちょうど糟屋通り大山道が突き当たり曲がる角に石造物があります。石造物の横のウコンの看板が、何回通っても気に掛かっていました。
糟屋通り大山道、うこんの隣 うこんの看板のとなりでは肥料を販売しています。その関連性について、一緒に歩いた上司と意見が一致しました。