いつから東海道を歩くようになったか定かではありませんが、歩きはじめた頃にはよい案内本が見当たらず、勘をたよりにすることも多々ありました。そうこうしているうちに、2001年の街道制定400周年を記念してウォーキング本が数多く出版されました。なかでも「東海道五十三次を歩く」(全5巻、1999年8月~12月、講談社SophiaBooks)は、2万5千分の1地形図を用いた有用な本で、週末になるとそれを片手に出かける日々がつづきました。 自宅から日帰りか一泊で行けるところをずいぶんと歩いた頃に、今度は同様のコンセプトで「中山道の歩き方」(全6巻、2000年11月~2001年5月、学研)が刊行され、当時は自宅が旧中山道から近かったことも相まって、そちらにシフトをするようになりました。

やがて仕事が忙しくなり、また引っ越しをしたこともあって、街道歩きからは次第に遠ざかってゆきました。ずいぶんと経ったころ、新聞だったと記憶していますが、貴社の「ホントに歩く東海道」の広告を見て開眼。さっそく池袋のジュンク堂に赴いて第1集を買い求めました。街道歩きには必携ともいえる、しかも厚みのある本のページを開きながらでなくてもよい、そのうえ地図は1万分の1という、題名からしてまさにそのものズバリの「ホントに歩く」が刊行されはじめたのです。「ああ、あのときにこれがあればなあ」そんな気持ちを抱いたことが思い出されます(2012年の12月か、2013年の1月頃だったのではないでしょうか)。そうして再スタートを目論みながら興味のあるところを何冊か入手しましたが、相も変わらずの忙しさゆえに見たり読んだりして楽しむだけで、いまもって充分に活用(実践)できているとはいえません。

貴社のHPを拝見し、街道歩きの案内本の使いよさの裏には、それを編む方々の綿密なる調査と、並々ならぬ労力と、そして決して低廉では済まされない費用とが必須であって、そうしてはじめて「ホントに歩く」の看板に偽りのないものができあがるのだということを、あらためまして知らされた思いです。
いまは「西国三十三所(観音)」の徒歩巡礼が目標ですが、もしも満願できた折りには、その次として、いまだ完歩できていない東海道(往路)と中山道(復路)をゆきかえりに歩いて、いにしえの旅人よろしく西国をお参りしたいなどと、そんな大それた妄想も抱いています。

そこでリクエストなのですが、同じようなコンセプトで「西国三十三所」を徒歩巡礼するための手引き書をご企画いただけませんでしょうか。「西国三十三所札所会」には、先達制度というものがあり、巡拝を重ねることで昇補が可能になります。昔の人たちがしたように、私も死ぬまでに一度は1000キロの道のりを踏破してみたく、そのためのよき案内書を切に求めております。 

蟻の如くに歩まん 22.12.1

(FuOH)とても嬉しくありがたいお便りをいただきまして、身に余る光栄に存じます。ありがとうございました。「ホントに歩く」シリーズをご利用いただいた上で、励みになるお言葉をいただき、感謝感激でございます。
「西国三十三所(観音)」徒歩巡礼のマップ発行のリクエストをいただき、その返信に対するご返信のご丁寧なお便りをいただき、それを、上記に転載させていただきました。もともとのリクエストのお便りも、文末に転載させていただきました。「西国三十三所巡り」をめざされるとのこと、頭がさがります。ぜひとも、満願成就されますよう、お祈り申し上げます。

お申し越しの巡礼地図を弊社でこれから作成することは、正直なところ、今のところはとても困難で、せっかくの企画ご提案ながら、お応えできないのが残念です。お許しください。
1万分の1地形図で、たかが30kmの1集を作るのに、何度も複数回の現地調査を続けて3カ月以上を要しています。西国三十三所巡りの道は大変魅力的ではありますが、西国1000キロは、いまのところ、弊社のキャパシティを超えており、申し訳ありません。
ご出発なさったおりには、ぜひ、お便りください。読者の方で、ご関心ある方も大勢いらっしゃることと思います。今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。満願成就を心よりお祈り申し上げております。