だいぶ前の話ですが、3月26日に厚木から伊勢原までの大山街道を歩いた時のことを記します。

 ▼コース
 小田急線本厚木駅-相模川沿い厚木渡船場-厚木神社-最勝寺-熊野神社-岡田三島神社-(ここから相模川離れ西北へ)-岡田交差点-酒井前田交差点-玉川越える-片平交差点(小田原厚木道路くぐる)-宿愛甲交差点(左折)-愛甲石田駅(トイレ)(国道246号線進む)-文教堂愛甲石田店-石田交差点(左折)-小田急線踏切南に越える-長龍寺・小金塚古墳-小田急線北に越える-白金地蔵-成瀬小学校-歌川橋-T字路右折(ここから糟屋宿)-普済寺-高部屋神社-下糟屋交差点-東海大学医学部付属病院南側-せきどめ地蔵-市米橋(左折して浜田川越える、矢倉沢往還へ、大山街道はこのまま北西へ進む)-伊勢原高校-伊勢原交差点(左折、ここから伊勢原宿)-大神宮-火伏不動尊-中央通交差点(左折)-鳥居-伊勢原駅

 上記のコースは中平さんからいただいた「大山街道ウォークマップ」(大山街道・R246地域間ネットワーク交流会/ウォークマップ作成実行委員会発行)に載っているコースです。この地図には、街道沿いに今でも残っている神社仏閣、庚申塔やお地蔵様などの石像物、宿などの歴史的建造物がマークされていて、それを確認しながら歩く、という感じでした。庚申塔や道祖神などは、かなりしつこく探さないとわからない場所にあることも多く、見つけたときは思わず走り寄ってしまうほどのうれしさです。私は歴史的なことなどは特に不勉強で、あまりよくわからないのですが、オリエンテーリングの感覚でとても楽しい(だめですかね?)。
 10時半に本厚木をスタートして、16時20分に伊勢原に着きました。

 スタート付近の厚木神社で、「大山街道○○(判読不能)」と刺繍されたキャップをかぶった三人組の中年男性に遭遇しました。私は写真を撮っている際に地図を落としたらしく、一人の方が拾って追いかけてきてくれました。地図を持って歩いているのを見てか、「大山街道ですか。私たちも赤坂からずっと歩いてます」と言うので、「ほんとですか!」と、実際に歩いている人と出会えて感激しました。実は大山街道ウォーキングは、かなりメジャーなレジャーなのかもしれません。とすれば、「大山街道」の本の将来もかなり期待できます。また、驚いたことに、この人たちも「大山街道ウォークマップ」を手に持っていました。

これも、見つけて駆け寄った

これも、見つけて駆け寄った

  糟屋(かすや)宿(現、伊勢原市下糟屋)で、江戸城を造った太田道灌のお墓を見に行く途中、一軒の農家に野菜無人直売所があったので寄り道しました。なんと、ほうれん草50円です! やったー! 用意がいいので(こんなことだけ)スーパーの袋はいつも数枚ザックの中に入っています。スーパーで(私が)買っているのと違って、すごくみずみずしい上、でかい。4回ぐらい常夜鍋ができそうです(実際には2回しました。あとはおひたしです。おいしかった)。非常に大きかったので食品辞典を調べたら、ほうれん草には東洋種と西洋種がある。西洋種の葉は丸く、大きく肉厚、収穫量が多い、といいことづくめですが、灰汁が強い。東洋種は葉がギザギザで、灰汁はそれほどないかわりに小さく、収量が少ない。この両種のよいとこを合わせた交雑種が、最近の主流であるとのことでした。すみません、また大山街道より、ほうれん草の方に熱くなってしまいました。

 現在、試行錯誤の作業状態が続いております。4月7日に仮のゲラを出力しました。11日には著者の中平さんに会社に来てもらい、これからの方針や構成などの相談をしました。
 中平さんは、明治時代の地図のコピーを持ってきて下さいました。大山街道が通っている地域のもので、二子玉川や高津区の梶ヶ谷宮前区の馬絹、有馬などの名前が見えます。文字が書かれている方向は右から左です※。「明治前期測量2万分の1フランス式彩色地図」というものです。感じとしては、植民地時代のアメリカの羽ペンで書く紙のような色、でしょうか(わかりづらいですね)。黄色っぽい紙に、河川は水色、水田はオレンジ(のように見える)色、等高線も入っています。高度が高い部分は濃い黄緑色に塗ってあり、とても美しく、かつ技術力の高さに驚かされます。畑などは記号ではなく、文字で「畑」「水田」と書かれています。畑と水田だらけなので、当時はこの地域のほとんどが畑と水田だったことがわかります。また余白部分には「用賀村世田谷道三岐路」というキャプションで庚申塔に「右江戸道」と彫ってある絵や、「馬絹村字大塚岐分路」に対して道が交わっている場所の絵が描いてあります。  中平さんは一日中見ていても飽きない、と嬉しそうに話していました。
 本書は、一応、部分部分での強弱は出ると思いますが、赤坂~大山までの全行程を採録したい方針です。また、『誰も知らない丹沢』でやったように、実際の地形図(今回は1万分の1)を入れる予定ですが、その配置方法に苦闘しております。しかし、地図で自分が歩いた場所をゲラに配置してみると、楽しくなってきました。うまくいきますように。

 ※フランス式彩色地図の「文字が書かれている方向は左から右です」としていたところ、読者の方から「それでは今の地図と同じでは」というご指摘をいただきました(ありがとうございます)。本文の方を「右から左」に訂正しました。4月26日