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気象日記

最新の気象日記

●2010年5月25日(火)「梅雨の名前いろいろ」
 弊社が編集協力している環境文化創造研究所の「クリンネス」誌に、「梅雨の名前」の記事を書きました。
 冬と夏の入れ替わりの大きな気象のドラマだから、たくさんの名前がついているのかもしれません。
 許可を得て、「クリンネス」誌2010年6月号の1ページをアップしました。

 


●2010年4月14日(水)「体で感じた前線通過」

 生まれて初めて前線通過を体で理解した(ような気がした)経験を得ました。
 4月2日の前線通過時です。寒冷前線の通過前の出勤時、異常な暖かさでつい、薄着で家を出ましたら、午後は季節が違うような寒さになりました(何のため に気象を気にしているんだ!! アホ!)。
 前線通過時は、10分間で5℃の気温降下があったと夕方のニュースで言っていました。暖かい西南の風から冷たい北西の風に変わったのです。


図1は、前線通過がわかる地上天気図

図2は、2010年4月2日の1時間毎の気温変化(左)と風の変化(右)


●2010年4月13日(火)「じぶん気象庁週間天気予想ゲーム」
 

 HBCの専門天気図のうち、最も易しいのがFEFE19というアンサンブル週間予報図です。この天気図には、二つのことが示されています。
 一つは192時間後まで、つまりは8日後までの気圧配置の変化予想を示しています。つまり、週間予想天気図です。
 もう一つは、5ミリ以上の降雨地域が網点で示されています。
 それで、この二つ目だけを使って、お遊びとして、「にわか自分気象庁」の全国週間天気予報を出してみましょう。このゲームは10分もあればできて、周りの人はこのマジックにきっと賛嘆してくれるでしょう。
 あなたも、今すぐ、今日からの1週間の全国天気の予想が出せるので、やってみてください。なお、この方法は、どこかの本に書いてあるかどうか、先人がいるかどうかについて、私は知りません。だれでも気づく単純なことですが、それでも私が今回、自分で思いついて独自に試みて、自分で悦に入ったオリジナルゲームなのです。

ホームページ「HBC専門天気図」
 まず、「HBCの専門天気図」を知らない人のために、FEFE19のダウンロードから。
http://www.hbc.co.jp/pro-weather/の図1の右、上から2番目「週間アンサンブル予想図(略号FEFE19)のpdfをクリックします。
 図2が現れます。

図2
 私は、この遊びを2010年4月9日の午後3時に初めてしてみました。説明は後回しにして、6つの図の日時を書き入れてみましょう。
 上左図が、「4月10日21時〜11日21時」で、下右図が「16日21時まで」です。つまり、4月10日21時〜16日21時までの変化図を見ています。
 それで、欄外に予想する地方名を適当につくって、表を作ります(図3)。
 11日の図を見ると、たとえば東京では網点がかかっていないので、降雨はありません。それで○をつけます。福岡は網点がかかっているので、●です。長野は、境界付近なので、わからないので△です。

図3
 このようにして、全国随所の8日先まで、晴天か雨天かを転写しました。
 さてそれで、この表と、新聞の週間天気予想の傘マーク、お日様マークと比較してみると、まずほとんど一致するでしょう。驚くことはありません。
 今度は、実際の記録を赤字で書きいれていけば、「にわか自分気象庁」の的中率の成績表が作れます。
 さらに、その日が暑いか寒いか、降水があるけど雪になるのか、風は強いのか、これも驚くほど簡単に、自分で予想が立てられるのですが、それは図1右一番下の「週間予報支援図(略号FXXN519)」を見なければなりません。この話は、次回に。
図4
 さて、一番易しい「週間アンサンブル予想図(略号FEFE19)」に、注意すべきことがあります。「FEFE19 081200UTR APR 2010」とタイトルにあります。これは、「2010年4月8日12時」の発表ですが、UTCというのは、グリニッジ世界標準時ということなので、明石の日本標準時では、+9時間後で21時ということです。
 図6の上左は、(48-72)とあります。4月8日21時から、48時間後〜72時間後の気圧配置図です。つまり、4月10日21時〜16日21時の予想天気図なのです。このようにして、6図の示す時間帯を書き入れておきます。それが図2の手書きです。
 説明すると複雑そうに聞こえますが、なにも難しいことはありません。気象学の知識なんて必要ない遊びです。でも、この予想はよく当たります。


●2010年4月1日(木)「春はHに要注意」
 山岳会のメーリンググループによる気象講座が始まりました。
 「誰がわかるか! T教授!」と名づけられた、その受講ノートを作りました。
 が、何しろあまり出来の良くない受講生なので、「アンカーノート」と自称しています。ですので、ノートの間違いは、ご指摘ください。
 どうか、このアンカーノートの修正にご協力ください。
 
【教授のご講説の言葉】
以下、ピンク字は、T教授。青字は、アンカー受講生のohです。

 ヤッホー。
 西の気圧の谷が深いです(3/31)。

 教授。「ヤッホー」って何ですか?
 2010年3月31日12時の地上実況天気図を用意しました。

 西と北はやたらLがいっぱいになりそうです。あ! 天気悪くなりそう。そこで、考えて(天気図を観察して)みよう。

 1002のLは時速45km、14は30kmで、冬と春のLの移動は高速ですね。秋は20kmくらいでしょ。

 お! 桜ダ。ならば、春の天気だ。みなさん、Lはそれなりに(悪さをするの)ですが、問題はHですよ。春はHに要注意なんです。
 Lのうしろを見るのですよ。
 気圧の谷がどうしたって? その背後だってば。その背後にHさんがいるのでしたっけ? あ! 桜が。そう、春の季節の気象なんです。
 桜前線は東進だから、Hも東進〜ナンチャッテ。
 Hさんが日本さんに来るとき(来る直前)、そう、歓喜して、上空から寒気を呼び込む(地上に送り込む)構図になったら、山はやたら寒いド〜。
 Hは地上で吹き出すんだが、3000mも寒いド〜。そうなったら、気象遭難の模式図だド〜。
 小さなLさんは暖気をくれるからかわいらしいけど、H君が来るときは、山はセーターだド、春は。

 なるほど、私たちは気圧の谷に絶対に注目しますよ。そして、それが通り過ぎるのを待って、登頂アタックに出発です。だって、高気圧が来るんだもの。
 これが、北西の冷たい風を吹き下ろすのですね。台風並みの!


 
oh君が歓喜する、東海に長大な寒冷前線が天気図に描けたらたら、世田谷は寒気するでしょう。
 天気図描いてますか〜 描いていなけりゃ、ガウガウ!

 教授。今日、4月1日の天気図、いつになく美しく描けました。けれどやはり載せるなら、あまりうまくはないけど、歓喜した寒気の3月21日の書取天気図を恥を忍んで公開します。
 この日、山本さんに聞いた気象庁情報だと、蝶ヶ岳付近は風速30mの台風クラスの暴風雪だそうです。
 書き取った天気図にも、本講で教わった高気圧がしっかりと描かれています。



●2010年2月27日(土)「2月27日の天気予想」
 山岳会の気象委員会メーリンググループから、「24日夜現在の地上天気図から27日の天気予想をせよ」との課題が突如出されて、それを見たのが25日お昼前。締め切りは25日午後7時までとあった。間に合わないととも思ったが、せっかくの機会なので、挑戦してみました。

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24日21時の地上天気図に見る日本東の1025hPaのLは勢力が強い。
モンゴル付近にある高気圧の張り出しとの間に挟まれた気圧の谷は前線を形成しています。
この図からは、中国N34E117あたりから南西に延びている低気圧の谷が東進してくることが予想されます。
すでに24時間・48時間予想天気図があるので、それを見ると、上記の低気圧は前線を伴う低気圧(1002hPa→1010hPa)になって、26日21時には、低気圧の中心は南九州に位置します。
この前線は、27日は、東の高気圧に阻まれながらも日本の東、太平洋上に位置する予想が立つと思います。
すでに週間天気予報で発表されているとおり、27日は東京の降水確率が70%ですが、伊豆諸島は80%と高くなるのは、この前線に近づくからです。
そうすると、北海道・東北あたりは、西の高気圧の張り出しで晴れで、仙台以南、沖縄まで、低気圧の影響で雨が見込まれます。
東京より埼玉・山梨の方が降水確率が低くなるでしょうか? 長野などは同じですね。変わらないみたい。
なお、高層天気図は、週間予報天気図のアンサンブルのみ、今見て、27日の相当温度の等温度線が異常に混んでいるのは、風が強いことをしめしているのでしょうか?
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今、27日13時現在、予想したほどの雨ではなく、傘がなくても凌げるくらいの小雨から、雨は上がってしまいました。
今朝起きたとき、新聞を見ると、明日28日の神奈川の午前中は70%の雨になっているので、「明日の宮ヶ瀬尾根山行は中止」と思いましたが、インターネットで情報収集し始めると、どうやら雨は正午には止んで、夕方からは日が差すようです。しかも、出かけの午前9時ごろが本格的な降りであっても、気温が、下がってきて雪になる可能性が示されています。それじゃあ、中止にするわけにはいかない。
もしかしたら、まったく諦めていた眺望が雨上がりの午後に見えるという嘘みたい話になるかもしれません。
調べた情報をメモしておきます。

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1 天気予報(気象庁)神奈川西部
2 地上実況天気図27日午前9時
3 地上24時間予想天気図
4 地上48時間予想天気図
5 高層天気図AUPQ'78
6 高層天気図AUPQ35
7 高層天気図FXJP85
8 厚木・時間予報
9 清川村・時間予報
10 丹沢山頂上予報

以上によると、朝から正午までは弱雨。土山峠では雨具で出発の可能性はあるが、雨量は0〜1mm。
1000mでは確実に雪だが、宮ヶ瀬尾根は600mくらい。しかし、もともと雪は深いほうなので、雪の可能性は大。
正午には雨・雪は上がる見込み。期待は、そのあとの雨上がりの空気の澄み方次第では、声があがるほどの眺望が得られる可能性が出てきた。これは、大陸からの高気圧の張り出し具合にかかわるようだ。
高層天気図AUPQ'78の261200UTCの湿数は、舘野、輪島、潮岬で、全て0.0℃の湿域。八丈島では7℃だから、昨日の予報の伊豆諸島降水確率とは逆になっているように思えた。
春一番が25日に吹いて、現在も南の風が強い。
28日 土山峠付近の予報
0時 曇り 7℃ 北の風風力1
3時 弱雨 6℃ 北の風風力2
6時 弱雨 5℃ 北の風風力2
9時 弱雨 5℃ 北の風風力4
12時 弱雨 6℃ 北北東の風力3
15時 曇り 9℃ 北北東の風力2
18時 晴れ 8℃ 北北東の風力1
21時 晴れ 7℃ 静穏・風力0
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以上です。


●2010年2月18日(水)「2月14日 檜洞丸」
 2月13・14日の気象について、檜洞丸から、お便りが届きました(お写真も)。
 お願いして、転載させてもらいました。

 週末の洞はフリーザー状態 でした。
 14日朝の気温は−10度くらいでしたが「氷の世界」樹の幹から笹までみんな凍りついてます。
 未だ暫くはこんな状況が続きそうです。


●2010年2月17日(水)「2月14日 蓼科山」
 13日、14日の蓼科山の気象は、面白かった。
 南岸の前線の影響で各地で天候の変化が激しい、と、気象庁では言っていました。
 冬山訓練山行! 私は珍しく気象担当になりました。
 気象庁の予報はよく当たっていました。
 山岳気象情報もとても参考になりました。
 13日、14日は、激しい気象変化で、いい学習例でした。
 13日正午からの雪は1000m以上で、ぴったり予報通りでした。雪はだんだん激しくなり、最低気温予報のマイナス15℃は、2000mくらいで記録しました。
 山頂では、前を行く二人前の背中が見えないほどのホワイトアウト。風も強く、温度計を見る余裕もありません。雪が強い風で頬に当たり、早くこの場から逃れたい思いでした。マイナス17℃は越えていたと思います。
 翌14日朝は、小屋から浅間山が見事に見えて、晴れを知らせる雲海も美しいものでした。諏訪地方の気象庁記録では、曇り・晴れですが、当地は快晴でした。ただ、薄い巻雲が少しあり、飛行機雲も出ました。24時間後ぐらいの悪天候を予告するような、巻雲の広がりがありましたが、不思議、飛行機雲も、その後20分くらいで消えてしまい、巻雲自体もなくなったのです。サングラスがないと雪目になりそうな暖かい陽差しでした。
●2010年2月4日(木)「また飛行機雲の話」
 今朝見た飛行機雲は面白かった。まず、全天の北半分は青い空で、最南は巻層雲で真上は巻雲と巻積雲。引っかいたような幾筋もの巻雲が、風の方向で平行ではなくちょっとバラバラな感じでした。その中央少し北寄りに西に向かって白いジェット機がかなりのスピードで移動していましたが、そのときは飛行機雲は引いていませんでした。数秒後、巻雲に近づいてきた飛行機から、はっきりと細く白い筋が描かれ始め、また巻雲との距離が開くと飛行機雲は消えました。その間一分ぐらい。残された細い筋は、みるみるうちに巻積雲みたいな鱗状になって中央の巻雲とくっつきました。あの境界で大気中の含有水蒸気量と気温の違いがあるのでしょうね。
●2010年2月2日(火)「今冬の初雪積雪」
 1月31日(日)は、前日の土曜日、山岳会の山行はなんとか降られずに良かったのですが、先週の素晴らしい天候と比べると展望が優れません。同じ「晴れ」でも、天候の違いで景色はこんな違うのだと感じました。
 2月1日は、日帰りで京都でした。朝から、夕暮れのように暗い空で、予報通り、午後から冷たい雨になりました。かなり冷えました。夜8時半ごろに新幹線に乗り、目が覚めると、雪でした。帰宅の道路は、今冬初めての積雪でした。
 午後3時地上天気図では、東経135°に中心気圧1000hPaの前線を伴った低気圧があって、西日本を覆っています。この低気圧のスピードが速い。2日の朝9時には、太平洋の東経153°まで行きました。18時間で経度20°も移動したことになります。
●2010年1月28日(木)「気象とタイミング」
 映画の「剣岳」では出てこなかったけれど、新田次郎の小説では、陸地測量部が日本山岳会よりも先に登頂できた第一の要因は、気象観察力によるとされていました。新田次郎が気象庁の関係者で気象に詳しかったためでもあるでしょう。登頂のタイミングの判断力の差ということでしょう。
 実は本年1月9日に行われた気象予報士猪熊隆之さんの講演会では、具体的な冬山気象の知識をたくさん解説していただいたのですが、私にはすごく大きなことを一つ学ばせて頂きました。それを一言で言うと、この気象と「タイミング」ということです。
 いつアタックするか、いつ撤退するか、いつまで停滞するか…。そのタイミングを決するのは山岳気象力なのだとおっしゃっているように私は聞きました。
 いくらテレビ・新聞の気象情報が詳細・正確であっても山岳気象力が必要な理由は、この気象によるタイミングを知ることができるかどうかに関わっていることを知りました。
●2010年1月25日(月)「21・22日の低気圧通過」
 21・22日の地上天気図によると、20日12時の1016hPaの低気圧(低気圧としては異常に高い。1032hPaの高気圧に対する相対低気圧?)は、図で北緯37度東経127度にあって、21日12時の天気図では、北緯39度東経147度に移動したことがわかります。
 24時間で経度20度を移動しました。 N40で1度85km/h、 N30で95km/hとして、86×20=1720kmだと時速71.6kmになってしまうじゃないですか。間違っていますよね、私の計算。
それで、この低気圧は1016から24h後に996まで発達しました。なんかよくわからんけど、勉強した「感じ」だけが残りました。


●2010年1月21日(木)「熱輸送ポンプ」
 昨日の日記に、私の山岳会の気象委員の方から、次のような解説をいただきました。
 <「高気圧・低気圧は熱輸送のポンプ」の考えで地上天気図を見ると今日(20日)12時の天気図では、N30度線から張り出した高気圧(すでに後半部分)が暖かい南の空気をどんどん日本列島に運んでいる配置、(関東地方では空気が箱根を超えるときフェーン現象も加わるか・・・)、しかし今日12時にはまだ朝鮮半島の西にある低気圧は、明日には日本列島の東海上にまで東進、日本は低気圧の後方に位置することになり、ポンプ的には大陸からの冷たい空気が送り込まれる配置となる。>
 「高気圧・低気圧は熱輸送のポンプ」という解説に、なるほどと理解しました。こんなイメージかなあーー遠くは赤道付近からの暖かい空気が日本付近に運ばれ、遠くは北極近くの冷たい空気が日本付近に運ばれる。その混じり合う場所が日本付近の昨日今日の天気。地球の気温が混ぜ合わされて平均化されようとしている? 「潜熱輸送」というのは、こういうことですか。
 今朝の朝日新聞には、「コート要らずの大寒」という記事が出ていました。全国27か所で1月の最高気温の観測記録を更新したそうですね。東京都心は、平年より7.8℃高い17.3℃でした。

●2010年1月20日(水)「今日は暖かい」
 今朝の新聞の気象欄に、今日東京は「最高17℃、最低ー7℃」、22日は「最高7℃、最低1℃」とありました。10℃の温度差ですね。着るも のに横着な私なのに、今朝とても珍しく着ていくコートを考えてしまいました。こんなことは、めったにないことです。それで、HBCの週間予報支援図FXXNを見てみましたら、22日は5400がN35(東京)近くまで南下してきます。等温線は、21日0℃線が太平洋岸の陸上にありますが、23日は、その線上にマイナス6℃線が南下してきます。へえーと思って、ついでにアジア850hPaの今日の等温線をみると、0℃〜6℃の線間に関東甲信越地方がすっぽり入っています。
これらによると、22・23日は今日と打って変わり、丹沢の1000m以上では、零下5℃くらいになるかもしれませんね。
 地上天気図、先ほど見たときは、1032hPaの大きな高気圧に日本列島が覆われていました。暖かい空気が地上に吹き下ろしているのでしょうか。空を見ると長く鋭く流れる巻積雲に重なって飛行機雲が広がり、これを書きながら、再び地上天気図を見ると、日本海に前線を伴う低気圧があって、時速45kmで時速35kmの高気圧を攻撃するように差し迫って、まもなく覆い被さっていた高気圧が列島から追い出されそうです。今夜は雨がふるのかな。
●2010年1月18日(月)「路面凍結」
 樹氷と霧氷の違いについて、ご教示いただきました。
 その方の霧氷は、北海道で子どもの頃に寒い朝にきらきら光る氷の霧をお母さんから「これを霧氷というんだよ」と教わったそうです。
 霧氷は、樹氷、相氷、樹霜の総称というのが、インターネット辞書の定義にありました。私が(私だけでなく、そのときの周りの人も)樹氷と言わず、霧氷と言った心理的な原因は、写真で見る蔵王の見事な樹氷やスノーモンスターとは明らかに風情が違うからです。  
 例えば、「海老のしっぽ」にしても、太いロープを20cmくらいに切って、それを横向きに並べたようなものでなく、私が実際に見た木の下の地面に落ちていたものは、マッチ棒を2cmくらいに切ったものが段違いに並んでくっついていました。
 樹氷の豪快なイメージが頭にあって、このときのメルヘン風情に霧氷と言わざるを得なかったのです。
 ところで、その方の「霧氷への思い」はよく伝わります。しかし私は、それは今のところ、ダイヤモンドダスト(ー10℃の晴れた朝、太陽柱として見え始め、まるで銀河の星くずのように陽光に舞って、風と共に去る)との認識です。
 「樹液が霜柱のように外気に凝結した樹氷」? それは見てみたい。

 霧氷を見た次の日(12日)は待望(?)の積雪でした。そして、16日(土)、MKさんにKAZESAYAGEの現調に誘われて、KAZE執筆陣と丹沢へ行きました。
 前回は、「塩水橋ーキュウハ沢出合ー四町四反沢(手沢)左岸尾根ー竜ヶ馬場」でしたが、今回は、 「 早戸川橋ー栂立尾根ー本間ノ頭ーヌタノ丸スカイライン(仮)−森の家」でした。
 新雪の積雪は当然、霜も霜柱も川面の氷も、滝の氷結も岩壁のつららも鱗状の氷も路面の凍結も見ました。
 霜は空気中の水蒸気、霜柱は土中の水分ですね。だから、ぼこぼこと土を持ち上げるている理由がよくわかったのです。私がバカだから、どうも土面がでこぼこに荒れた道だなんて、もう一度馬鹿だねえ。
 積雪は、標高700mくらいからありました。平均5cm、吹きだまりの雪面をラッセルすると、深いところで25cmに「ズボッ」でした。スパッツなしだと容赦なく靴中にどっさりと雪が入ります。
 下山してからの早戸林道はこわかったなあ。舗装道路の全面がコチンコチン。私が今まで見知っているなかではもっとも凄い凍結でした。滑ったら、ガードレール下の隙間をすり抜けて、20m下の早戸川への転落が、もうはっきりと頭に浮かんでいました。
 でも、ほんとうにいつ見ても、大山は美しかった。宮ヶ瀬湖も、また遠くにはっきり見える街並みも美しく、すばらしい山行でした。この日、栂立尾根からは、同じVの先達が先行してトレースをつけておられたのにも感動しました。

 

  ヌタノ丸スカイラインとMKさんが命名した林道歩き(2010年1月16日)

●2010年1月15日(金)「飛行機雲」
 
昨年(2009年)の12月23・24日、八ヶ岳麓の個人山荘に招かれて一泊したとき、24日、平山郁夫シルクロード美術館のテラスから日の出を見ました。その美術館は甲斐小泉駅の前の高台にあって、そこから美しい富士山がしっかりと見えました。富士山の背景が淡く白く、なるほど平山郁夫美術館からみると、こんなふうに絵画的になるのかと、妙に感心しました。
 富士山の5合目当たりにピカッと光っているのは、山小屋(佐藤小屋?)から反射された朝日の光でしょう。上空は、雲のない青色でした。そのとき、たかーく小さく、飛行機が一筋の飛行機雲を描きながら移動していました。
 ところで、この飛行機雲には、観天望気ではよく知られたことわざがあります。
 「飛行機雲がすぐに消えると晴れ(上空の湿度が低いため)。飛行機雲が広がると悪天の前兆」
 朝早く山荘を出て、東京に向かう高速道路上の車窓からみた空模様は、細い筋だった飛行機雲が、だんだんとその帯の幅を広げ続けていました。雲筋も一本でなく、複数の飛行機が飛んだのでしょうか、幾筋かの帯がしだいにくっついていくような経過をみました。飛行機雲のスライドショーでした。その模様から、これから天気が崩れるんだな、と思ったのですが・・・。
 結果を先に言いますと、この日の午後も翌日も、雨にはなりませんでした。ところが、高層天気図では、低気圧の通過、寒気の南下が示されており、私の見た空模様は、10000mの上空に低気圧の接近を告げていたのでしょうか。3000mの山稜では、この日以降、天候はどうだったのでしょうか。(お)

●2010年1月14日(木)「霧氷」
 
2010年1月11日、丹沢山・竜ヶ馬場付近で、まるでグラビア写真のようなメルヘンチックな霧氷の光景に出会いました。
 みやま山荘の石井さんによると、寒いからと言っていつでも見られるわけではなく、前日が温かい空気で、その日が冷え込んで、風があるという条件が必要だそうです。非常にラッキーなタイミングでした。それに、もっと陽がさしていれば、「霧(氷)消」してしまったでしょう。
12日は、丹沢山系は積雪で、会社かも白くなった山稜が見えました。これからは雪の丹沢を楽しめでしょう。うれしいなあ。

 霧氷は、過冷却水滴が風で木の枝にぶつかってできるのだそうです。できるのはマイナス5℃以下の環境とあるのですが、わたしが見たときは、マイナス1℃。革手袋だったので、指先がしびれるほどに冷たくなり、軟弱な私は、ミニカイロを手袋の中に入れました。その後、ニットの手袋に変えたら、今度は暑く感じすぎるほどでした。手袋の材質でこんなに違うんだ、と変な発見をしました。
 ところで、調べて初めて知りましたが、霧氷の他に粗氷(そひょう)というのがあって、同じ発生の仕方ですが、透明の付着氷だそうです。ご覧になられた方は、教えてください。(お)