メールで本書の予約をくださった方の1行通信に、「丹沢を知りませんが、s-okさんの詩的な文章が好きです」とありました。
 「詩的な文章」だけでも十分ですが、「丹沢を知りませんが・・」という前置きで、文章を詩的に感じられている様子がよく伝わり、私までが嬉しくなりました。
 私の尊敬する著名な詩人が、「美しい言葉」の条件を示してくれています。
 「正確であること」そして「その人の発見があること」、この最初の二つの条件は、文句なくs-okさんの文章にあります。これだけでもすばらしいと思います。(3つ目の条件は、ここでは省略)
 「正確」で「発見」があるだけで、その人の世界は表れます。s-okさんの「過不足ない、落ち着いた筆致」は、上の2つの条件を満たしていて、それによってs-okさんの心が読者に伝わります。
 「語り過ぎない」「説明し過ぎない」発見は、「ああ」と読者を呟かせます。本書の編集作業としての原稿整理は、少し読点を追加したぐらいで、ほとんど赤字を入れていません。

 初校出力の前に一つの節目があると、前に書きました。
 本の作り方は、それぞれの本によって、その都度、本当に違います。本作りは「段取り八分」で、作り方が決まれば、本のイメージもできあがっています。「初校」というのは、文字通り「初めての校正」という意味の場合もありますが、本書では、大事な一つ目の節目を越えたときが、「初校」です。

 その節目とは、「台割表の作成」です。台割とは、印刷機の版面の数です。本のページ数は、製本の仕組み上、16ページ(表裏各8ページ)単位の倍数がベストです。それで、16ページを1台(または1折)と言い、本書のページ構成を台数に応じて決めるのが台割です。

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 本書は最初、廉価で販売したいため、96ページ(6折)ぐらいの薄い冊子を想定しましたが、それを変更し、収載予定山行記の原稿分量から割り出して、本文を144ページ=16×9折の予想に改めました。その上に地図を16ページ(1折)加え、総160ページ(10折)にし、判型はA5判正寸で、少し大きめとしました。ハードカバーは予定していません。
 そして、これをシリーズ本「道と未知」(これは、「未知の道」も「道の未知」も含む)の第1弾としようという計画です。
 こうして、160(144+16)ページの、仮の台割と、初校ゲラができました。これからそれを著者に送って、読み直していただきます。明日発送の予定です。そして、編集部でも、同じ初校ゲラによって、実は初めての本格的な校正と、台割と各ページをにらめっこしながら、構成上に工夫(読者へ提供できる内容の充実)をしていきます。 「地図の構成表」もその一つでしょうか。予告していましたこの表は、以下、別表に掲げます。

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 これからの初校で、本文を読みながら図版・地図との照合もしていきます。  (ご予約下さった方には「予約者通信」を発信します)