総合出版・編集プロダクション 「ホントに歩く東海道」

耳は何のためにあるか

何のための知識シリーズ1
耳は何のためにあるか

山田宗睦ほか共著

耳は何のためにあるか 表紙画像

発行:風人社
仕様:四六判/上製本/ 276頁
定価:本体2,300円+税
1989年8月10日発行
表紙画 青木健真
ISBN9784-938643-00-3 C0347

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★日本図書館協会選定図書
全日本聾唖連盟推薦図書

 


哲学・医学・物理・口承芸能……切実な問いとしての「障害を通した」視点ほか、 徹底的に「耳」を問うアプローチ。 人間的な生き方に、耳は本当の力を発揮しているだろうか。

耳はたしかに外部の、空間の、物理的な音を聞く。 だが耳は、それだけではなく、神の声、内心の声、時の声を聞く。 そしてこの内の音信(おとずれ)を聞くとき、耳は人間の耳となったのである。 (山田宗睦/本書第1章より)

「何のための知識シリーズ」 ご案内

「身体から考える」
このシリーズは、「身体から考える」をテーマにしています。
身体「を」考えるだけではありません。
身体は、「存在」しています。ゆえに、自分自身で見ることができ、触れることができ、あらゆる感覚で感じるこどができます。自分自身というものの出発点ともいえると思います。

身体はだれにでもあります。だれとの間においても、いついかなる時にも、共通 のモチーフになります。それぞれの身体はみんな違っていても、身体というモチーフは平等に存在しています。身体は、それぞれの違いによって、私たちそれぞれの生き方の基盤となっています。だから、身体への関心のない人はいないと思います。

本シリーズは、「身体から考える」ということを、大きく三つの考え方で試みています。

一つは、驚きのある地図の提示です。
「身体は宇宙」という言葉どおり、身体は無限の奥行きを持った神秘であると思います。今日まで学問が到達し得た成果 としての、神秘の宇宙の地図を、専門家だけのものではなく、全ての人に提示できたらという願いです。身体という宇宙のシステムやメカニズムの地図を公開してほしいということです。宇宙の闇のほうが圧倒的に大きいということがわかるだけでも、「学校知識」とは違う驚きがあると思います。

二つめは、地図の見方の問題です。正確・詳細であればあるだけ、地図どおりの身体を持つ人はいないということです。それぞれが固有の身体であるという認識を持ちたいと思います。現実の自分の身体の実態から考えていくために地図を役立てるのであって、地図にあう身体づくりをするためではありません。地図に合わないのが異常ではなく、それぞれの違いを認め合いたいと思います。

三つめは、地図を多面的にイメージすることです。具体的な方法として、医学・工学・哲学・人類学・芸術・文学・スポーツ・障害ノノほかの専門家の共同執筆で構成を試みました。  この試みに盤石の自信があるものではありません。しかし、高度情報化社会にあって、「何のための知識」という問いを自らに課しながらの試行錯誤に、あらゆる方面 からのご教示ご指導をいただけますことを、切に祈念いたしております。

本シリーズの第1弾として刊行

数多くの新聞・雑誌の書評欄で取り上げられた。聴覚に関心ある人の必読基本書とまで、一部から評価をいただいた。聴覚のメカニズムについて、医学・工学からのアプローチで、基本的な知識から専門分野まで、詳細に深く述べられている。すでに、いくつかの類書に資科・転載の形で貢献できていることは光栄である。
巻頭言は、哲学者山田宗睦の「耳はたしかに外部の、空間の、物理的な音を聞く。だが耳は、それだけでなく、神の声、内心の声、時の声を聞く。そしてこの内の音信(おとずれ)を聞くとき、耳は人間の耳となったのである」と結ばれている。
口絵には、耳の造形を一生追い求めた彫刻家三木富雄の「EAR」を、詩人茨木のり子の詩「聴く力」をご好意により転載させていただいた。
聴覚の秘密を握る「コルチ」器官の電子顕微鏡写真(星野知之氏提供)は、神秘の極みを視覚で味わうことができる。
聴覚障害者の「音楽・考」は、読者の印象を強く打った。今までの「耳」のアプローチに欠けていた一つの視点である。


本書の目次

<口絵> 「EAR」(彫刻・三木富雄)
「聴く力」(詩・茨木のり子)
「有毛細胞」(顕微鏡写真・浜松医科大学 星野知之)

1 耳の意味を考える……山田宗睦

<コラム> 感性の響き合いとしての耳……尾藤イサオ

2 人の耳はどうなっているか?……向高洋幸
耳の力を考える/耳はどこから来たか?/聞くことの入口 耳介・外耳道/空気の振動から個体の振動へ 鼓膜/ 音量の自動調節 鼓室/驚くべき鋭敏な毛のアンテナ 蝸牛/平衡器官としての耳 三半規管・前庭/ 信号の伝達組織と中継検問所 聴覚神経/耳の病気/難聴という耳にとっての重大な問題/めまい・耳鳴り

3 耳の知覚……千葉滋
音はどのように知覚されるか?/なぜ人の感覚は対数的なのか?/耳はどこまで聞こえるか?/音色とは何か?/ なぜ耳は二つあるのか?/ヘッドホンで聞くと頭の中から音が聞こえる?/カクテルパーティ効果とは?/ 聴覚は錯覚をおこすか?/快い音、不快な音とは何か?/音声・音楽の認知/耳と眼はどちらが強い?/ 右耳と左耳は同じ?/耳からの情報、眼からの情報/音のない世界(無響室)での体験

4 機械の耳……千葉滋
なぜ機械に耳が必要か?/機械の耳・人の耳/ニューロン・コンピュータによる音色の認識/音声とは何か?/ 音声の最小単位、音素とは何か?/会話音声の性質/人は音声をどのように知覚しているのか?/ 機械による音声認識はどこまできたか?

5 障害を通して考える
■心の対話--聾教育の体験から……大嶋功
障害児教育は、まず親が……/不自由なればこそ心を聞く/普通の子供のなかで育てる/ 目が見えるだけでは本は読めない

■聴こえない世界からの音楽考……森壮也
音楽ワークショップの始まり/少年時代の楽器体験/聴覚障害児と音楽/再び少年時代の楽器体験/ 友人に教えられた「聴く音楽」の世界/自分の音楽とは何か?/「聞こえない」ことと「音楽」/ 「自分の耳」の「自分の歌」

■補聴器の歩みと今後の課題……庄野久男
山野で学んだ知恵/耳の悪い人に使えないか/電話の誕生と電気式補聴器/相次ぐ革新の時代/ 「補聴器効果」というマイナスの影響/現在の補聴器の課題/補聴器は体の一部になれるのか/私たちの宿題

6 昔話「聞き耳頭巾」を考える……中村とも子
「聞き耳」の登場する昔話/聞き耳譚の主人公/主人公は何を聞いているか/欠損をおぎなうものとしての聞く力/ 聞く力を持つ者=異種の人/聞き耳を得た子供たちの到達点/「聞く文芸」としての昔話

索引

 

著者紹介

山田宗睦(やまだ・むねむつ)1925年生まれ。京都大学文学部哲学科卒。関東学院大学教授。著書『現代哲学の設計』『道の思想史』ほか多数。日本書紀史注 眼 手 痛み 足 口 まち くび

尾藤イサオ(びとう・いさお)1943年生まれ。歌手・俳優。全日本ロックコンサート優勝。プレスリー賞受賞。『マック・ザ・ナイフ』『悲しき願い』『あしたのジョー』、舞台『アニー』

向高洋幸(むこうだか・ひろゆき)1947年生まれ。東京大学法学部、浜松医科大学医学部卒。聖隷浜松病院耳鼻咽喉科医師

千葉滋(ちば・しげる)1946年生まれ。東北大学工学部卒。同大学院修了。工学博士。電子技術総合研究所(通産省)音声研究室主任研究官。

大嶋功(おおしま・いさお)1907年生まれ。東京帝国大学文学部卒。日本聾話学校長。ヘレンケラー賞・朝日賞ほか福祉関連の受賞多数。

森壮也(もり・そうや)1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。同大学院修士課程修了。アジア経済研究所勤務。聴覚障害児のための音楽ワークショップ・スタッフ

庄野久男(しょうの・ひさお)1918年生まれ。無線電信講習所卒。リオン株式会社元取締役・聴能研究室長。補聴器及び植込型人工中耳の共同研究に従事。著書『聴覚障害』(共著)ほか

中村とも子(なかむら・ともこ)1954年生まれ。日本女子大学文学部卒。日本口承文芸学会会員。著書『雪の夜に語りつぐ』 眼

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